【一般教書演説解説】「一つのアメリカ」を目指すトランプ大統領
2019/02/14

【一般教書演説解説】「一つのアメリカ」を目指すトランプ大統領

(一般教書演説全訳はこちら↓)

https://conservative.or.jp/news/sou2019/

 

「国民は二大政党としてではなく、一つの国としての統治を望んでいる。今夜掲げる政策課題は、共和党や民主党の課題ではなく、アメリカ国民のためのものだ。」

2019年の一般教書演説を、トランプ大統領はこのように切り出した。党派対立のための政治ではなく、アメリカ国民のための政治を行おうではないか――この大統領の訴えは、長きにわたる分断に悩まされてきたアメリカ政治の課題に、正面から向き合うものであると言えるだろう。

 

冷戦が終結し、ソ連が崩壊した1991年、ケネディ大統領の特別補佐官であったアーサー・シュレシンジャーは、「アメリカの分裂」(The Disuniting of America)と題する本を書いた。文化的多元主義を追求するアメリカ社会は、これからのちに深刻な分断に冒されてゆくだろう、「ベスト・アンド・ブライテスト」と称された政権のひとりは、このように未来への警鐘を鳴らしていた。

 

それから30年近い歳月が経ったいま、トランプ大統領は一般教書演説で、アメリカの輝かしい20世紀を回顧することで、アメリカの団結を訴えた。アメリカの栄光とは、ノルマンディ上陸作戦の決行(1944年)であり、アポロ11号の月着陸(1969年)である。アメリカが団結し、未来を切り開けば、アメリカは常に世界のリーダーであり続ける、そのために乗り越えなければならないのは、分断なのだ。

 

「私たちは復讐や抵抗、報復の政治を拒絶し、協力と妥協、共通の利益の限りない潜在力を追求すべきだ」、トランプ大統領はこう語った。何十年も続く政治的な行き詰まり状態を共に打開しようではないか――このことの重要性は、『トランプのアメリカ』(あえば直道・監修)のなかで、ニュート・ギングリッチ元下院議長も訴えたことだ(第2章「一つの国家」の復活)。

 

(ギングリッチ元下院議長著・あえば直道監修『トランプのアメリカ その「偉大なる復活」の真相』)

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もちろん、こうしたトランプ大統領の発言は、昨年の中間選挙によって民主党が下院多数派となったという「現実」や、来年に控える大統領選挙への布石という面がある。5週間の連邦政府の一部閉鎖が明らかにしたように、アメリカは行政府と立法府が協力関係を築かないことには、円滑な政策の実施は望めない。その点で、民主党に態度の軟化を求めたと見ることは可能だ。また、自身の再選のために、超党派の支持を獲得したいという思惑はあるだろう。

 

そうだとしても、トランプ大統領の「一つのアメリカ」への訴えの価値が減ずることはない。30年にわたってアメリカが悩まされてきた文化的対立、党派的対立がこれ以上先鋭化しないように、妥協の政治、国民のための政治を行おうではないか、という主張は、まったく正しい。「国民のための大統領」として、トランプ大統領が今後の政権運営を行っていく狼煙として、今回の一般教書演説は記録されることになるだろう。

 

(一般教書演説全訳はこちら↓)

https://conservative.or.jp/news/sou2019/

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